竹筋コンクリートとは?|坂内セメント工業所
坂内セメント工業所は竹筋コンクリート二次製品を製造しています。
目次
竹筋コンクリートとは?
「竹筋(ちくきん)コンクリート」とは、戦時下の資材不足をきっかけに考案された技術で、鉄筋の代わりに竹材をコンクリート構造物の補強材に使用するものです。
竹筋コンクリートの特長
竹筋は強アルカリ性のコンクリートの中でも腐食に強く耐久性があります。鉄筋コンクリートと比較して60~70%の強度で実用化が可能です。
>>チラシ『竹筋コンクリート研究資料』をみる(電子カタログが開きます)
竹筋コンクリートのメリット
放置された竹林
- 「竹害」となる放置竹林を資源へと転換できる
- 竹材の地産地消による中山間地域の振興に貢献できる
- 竹は一年で成木になるため材料として確保しやすく利用しやすい
- 原材料製造時の二酸化炭素排出を抑制し地球環境に優しい
竹筋コンクリートのデメリット
竹材は鉄筋と比べると、強度の観点から大型の建物や橋には向かないとされていました。
しかし、岩手県一関市の厳美渓長者滝橋(1939年建設、登録有形文化財)や熊本県阿蘇郡小国町の宮原線橋梁(1984年廃線の宮原線の鉄道橋、登録有形文化財)など、日本各地では竹筋を使用した建造物が複数現存、活躍しており、竹筋コンクリートが大型建造物に向かないとは一概には言えません。
竹筋コンクリートは竹材の加工の仕方によって、鉄筋コンクリートと遜色ない強度の確保が可能ということが分かっています。
つまり、竹は土木・建築資材としての無限の可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。
竹筋コンクリート復活プロジェクト
「竹筋コンクリート復活プロジェクト」とは、昭和の初めまで国内で普及していた竹筋コンクリートを、現代の先端科学技術をもって「竹を活用した環境に優しいコンクリート」として復活させ実用化を目指すプロジェクトのこと。幅広い分野の産学がタッグを組み、地域に産する竹材を有益な素材に変え活用を図る挑戦です。
2021年より「竹筋コンクリート協議会」として、2024年5月現在16企業・2大学が参画しています。
竹筋コンクリート協議会
自然資源を利用した地球環境に優しい竹筋コンクリートの普及を目指して、幅広い分野の16企業・2大学が連携し、温故知新の考えに基づいて竹筋コンクリート復活プロジェクトに取り組んでいます。
- 新和設計(株) 企画技術室
- 日本大学工学部土木工学科 コンクリート工学研究室
- 日本大学工学部機械工学科 サステナブルマテリアルデザイン研究室
- 東北大学大学院工学研究科 建設材料学研究室
- (株)坂内セメント工業所
- (株)日仙産業
- 竹問屋 平出吉平商店
- 竹工房たけや
- 久米工業(株)
- (株)山一緑化土木
- 渡辺エンジニアリング(株)
- (株)菊地測量設計
- (株)新和調査設計
- (株)東コンサルタント
- (一社)LIMit(兼Lib設計)
- (株)小野工業所
- 草野産業(株)
- (株)藤建技術設計センター
- (株)杉浦鉄工所
(順不同、敬称略)
※2024年5月現在
坂内セメント工業所の竹筋コンクリート復活への取り組み
坂内セメント工業所はコンクリート二次製品製造メーカーとして、実際に竹筋を使用したコンクリート構造物のサンプル作成、製品化に取り組んでいます。
竹筋コンクリートのコンクリート構造物に対し、日本産業規格(JIS)に準拠した試験を実施したところ、二次製品として利用できる可能性を確認しました。
>>チラシ『竹筋コンクリート研究資料』をみる(電子カタログが開きます)
>>コラム『コンクリート二次製品とは』を読む(コラムページへ)
竹筋コンクリート二次製品の施工実績
竹筋マーク
竹筋コンクリート二次製品を使用した施工現場には、製品に竹筋を使っていることを示す「竹筋マーク」の表示を行っています。全国各地の現場に竹筋マークが拡がることを目指して日々挑戦し続けます。
case
01
民間施設の新築工事(福島県白河市)
福島県白河市の民間施設新築工事において、施設敷地内の側溝に竹筋コンクリート製のふたが採用されました。
施工現場:福島県白河市
施工年月:2023年8月
納入製品:竹筋コンクリート落蓋型側溝 3種 400用ふた
case
02
竹筋コンクリートベンチフリュームの実証実験(福島県南会津町)
福島県本宮市産の孟宗竹を使った、坂内セメント工業所製造の竹筋コンクリートベンチフリュームが、南会津町内の側溝未整備の休耕田の脇に設置されました。(これまでずっと地域の方々があふれる水の対応に苦慮していたということで、今回実証実験の場所として南会津町よりご紹介いただきました)
11月26日の竹筋コンクリートベンチフリューム敷設作業には、竹筋コンクリート協議会や地元住民、日大工学部の学生あわせて約70人が参加しました。
竹筋コンクリート二次製品の実証実験として、実際の耐用性などをモニタリングし、さらなる実用化と普及に向け改良をしていきます。
>>朝日新聞(2023年12月7日付)掲載 ※クリックで拡大表示
施工現場:福島県南会津町田島
施工年月:2023年11月
納入製品:竹筋コンクリートベンチフリューム1種300
施工延長:20m(水路全長約70mの内、20mを竹筋コンにて試験施工)
竹筋コンクリートの評価
こおりやまSDGsアワード受賞
竹筋コンクリートの自然素材である竹を鉄筋の代わりに活用しようという取り組みは、活用に伴い「CO2排出の縮減」「放置竹林対策」「新たな産業創出」などをシナリオ化した取り組みであるとして評価されました。
(授賞式:2024年1月20日)